と、承知せえへんぞ! ええか、おい、ちょっと男前や思て、ひとのスメ(娘)に手エ出しやがって、それで済む思てけつかんのか、おれを誰や思てけつかんのや、道頓堀の勝いうたら、お前みたいな、へなちょこの軟派とちょっと違うネやぞ。――さあ、どやしたるさかい、面を出しくされ!」
しかし、道頓堀の勝の手が伸びて来るまで、少し間があった。そのため豹一はすっかり焦れていたので、いよいよ道頓堀の勝の拳骨が飛んで来た時、待ってましたと思ったぐらいだった。
「待ってました!」
弥生座の舞台にレヴュー「銀座の柳」の幕が上った途端、二階の客席からそう奇声があがった。
「東銀子頑張れ!」
知らぬ人は、東銀子とは舞台の前方へ一人抜け出してチャールストンを踊っている主役の踊子だと、思ったかも知れぬ。が、実は後列の隅の方で沢山の踊子にまじって細い足を無気力にあげている胸の薄い少女が、東銀子だった。
「銀ちゃん、頑張って頂戴」
声のする方を見あげて、銀子は、あ、北山さんだと、手をあてた腰を動かしながら、ふっと泪が落ちそうになった。いつの間にまぎれ込んだのか、二階の客席でしきりに銀子の名をよんでいるのは、文芸部の北山
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