らい採りよるかな」馴々しい口調だった。
「さあ、何人ぐらいでしょうな、五、六人、それとも――。数名採用とありましたね」豹一は思わずそんな返事をしていた。
「いくら呉れまっしゃろな? 六十円、それぐらいは貰わな食《く》ていかれへんがな」
「そうですね。六十円ぐらいでしょうね」豹一はそんな無気力な返事をしている自分が情けなかった。
「ほんま言うたら、六十円でもやって行かれしまへんネん。子供《がき》が二人も居よりまんネん。きょう日《び》物が高《たこ》おまっさかいな」
「二人もね」
「ええ、二人もいよりまんネ。もう直き三人ですわ。さっぱりわや[#「わや」に傍点]です。しかし、ここの会社アはえらい家族主義や言いまっさかい、まさか社員が食て行かれんようなことはしまへんやろ。その代り、よう働かしよりまっしゃろな」
「はあ、家族主義ですか?」豹一は自分の返事が野崎に似ていると思い、さすがに苦笑した。長髪の男はぺらぺらと喋り続けながら、神経質に膝をふるわせているのだった。不安な気持を誤魔化すためにこんなに喋っているのだなとふと思った。
 気の抜けた空虚な表情で、ぽかんと呼出しを待っていたが、誰も部屋へ来
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