押し立てりゃ、天下分け目の大いくさ、月は東に日は西に、沈めまいとて買うて出る、価は六文銭の旗印、真田が城にひるがえりゃ、狸が泣いて猿めがわらう、わらえばエクボがアバタにかくれる。エクボは二つ、アバタは大勢、こりゃ何としてもアバタの勝じゃが、徒歩《かち》(勝)で行かずに飛んで行けと、許されたる飛行の術、使えば中仙道も一またぎ、はやなつかしい上田の天守閣、おお六文銭の旗印、あのヒラヒラとひるがえること、おお、このアバタの数ほども、首なき男を作ってみせるぞ」
などと、富田無敵のために首なき男を作ろうと、奇妙なことを考えている。この男はどこまで正気なのか、わからなかった。
底本:「織田作之助 名作選集4」現代社
1956(昭和31)年5月20日初版発行
※誤植の確認に、「織田作之助作品集 第二巻」沖積舎、「ちくま日本文学全集 織田作之助」筑摩書房を使用しました。
入力:生野一路
校正:浅原庸子
2001年8月2日公開
2003年6月1日修正
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