、寝泊りした。他吉は種吉に、
「種さん、おまはんはええ子をもった。わいは昔蝶子はんのことあんな風に言ったけど、悪う思いなや。いや、実際感心な娘やなあ」
 と、言った。
 ところが、柳吉は湯崎で毎日散財していたのだ。見舞いがてら湯崎へ出向いた蝶子は、柳吉が妹からもこっそり送金させていたと知って、気が狂ったようになった。
「兄妹やから、なにもお金を送らせて、わるい法はないけど、しかし、それではわての苦労がなんにもならん。散財さえしてくれなんだら、わてだけの力であんたを養生させられた筈や」
 柳吉と一緒に湯崎から大阪へ帰ると、蝶子は松坂屋の裏に二階借りした。相変らずヤトナに出た。こんど二階借りをやめて一戸構え、ちゃんとした商売をするようになれば、柳吉の父親もえらい女だと褒めてくれ、天下晴れて夫婦《めおと》になれるだろうとはげみを出した。その父親はもう十年以上も中風で寝ていて、普通ならとっくに死んでいるところを持ちこたえているだけに、いつ死なぬとも限らず、生きているうちにと蝶子は焦った。が、柳吉はまだ病後の身体で、滋養剤を飲んだり、注射を打ったりして、それがきびしい物入りだったから、半年経って
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