ちっぽけな[#「ちっぽけな」に傍点]しもたや風の家で、頭のつかえるような天井の低い二階に治療機械が窮屈にかすんで置かれてあった。
 右手は薄汚れた赤煉瓦の壁で、門をくぐると、まるで地がずり落ちたような白昼の暗さの中に、大提燈の燈や、蝋燭の火が揺れて、線香がけむり、自安寺であった。なにか芝居の書割りめいた風情があった。
 こんなところに寺の裏門があったのかと、次郎がおどろいていると、君枝は、
「ちょっと……」
 待っていてくれと言って、境内の隅の地蔵の前にしゃがんで、頭を下げ、そして、備え付けの杓子で水を掛けて、地蔵の足をたわしでしきりに洗い出した。
 地蔵には浄行大菩薩という名がついているのを、ぼんやり眼に入れながら、
「お君ちゃん、えらい信心家やねんなあ。なんに効く地蔵さんやねん?」
 傍で突っ立っている所在なさにきくと、君枝は、
「何にでも効くお地蔵さんや」
 と、手と声に力を入れて、
「――かりに眼エが悪いとしたら、このお地蔵さんの眼エに水掛けて、洗《あろ》たら良うなるし、胸の悪い人やったら、胸の処《とこ》たわしで撫でたらよろしおますねん」
 しきりに洗いながら、言った。
 なる
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