めた。
 普通潜水の修業は、喞筒《ポンプ》押し一年、空気管持ち一年、綱持ち一年で、相|潜《もぐ》りとなるまでには凡そ四年掛るのだが、それを天分があったのか、それとも熱心の賜でか、弟子入りして二年目にはもう相潜りになった。
 いったいに潜水夫の仕事は、沈船作業(単に荷物を揚げるような簡単なものから、爆破解体、巨大船の浮上のような大規模なもの)のほかに、築港、橋梁、船渠等の水底土木作業や水産物の採集などであるが、沈船作業は主として春から夏の頃の凪ぎの海に限られており、水産物採集には勿論漁期がある。だから陸上工場のように絶えず仕事が一定しているわけではなく、その間生活の安定を得るためには、これらの特技のうち二つ乃至三つの種類に馴れる必要があるが……、
「自慢するようやけど、僕は一人前の潜水夫になってから、三年のうちに、必要な技術をすっかり覚えてしまったわけですよ」
 と、次郎は語った。
「しかし、現像の方かてころっと忘れてしもたという訳じゃないですよ。いまだに仲間の撮したのを時々現像してやってるけど――そうそう、お君ちゃん、あんたの今の写真、なんやったら僕が味善《あんじょ》う引伸したげよか、
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