うやなあ。お嫁さんを選ぶのは男の権利やろけど、しかし呼びつけて、こっそり試験したり、観察したりするのん、ちょっと厚かましいな。あんたが好んでそうするのんやったらともかく、何も知らんあんたを、勝手にお嫁さんの候補に見立てて、試験したりするのん、考えてみたら、ちょっといややな。あんたが感じわるい思うのん無理ないなあ」
 十五銭ずつ出し合って、勘定をはらい、喫茶店を出ると、もう暗かった。
 元子と別れて、市電に乗ると、もう君枝はそのことを忘れてしまい、他吉にもそんな話のあったことを話さなかったが、翌日君枝はいやでもそのことを想いださねばならなかった。主任がまた言いだしたからである。
「今日は五時までに帰って来てんか?」
「はあ……?」
「大西さんが親子でいっぺんあんたと御飯をたべたい言うのでな。わしも一緒に行くさかいな」
「でも、そんなこと……。お祖父ちゃんが……」
「お祖父さんにはあとでまた話しするから」
 きいて、君枝はぐっと怒りがこみ上げて来た。
「――俥夫やと思って、莫迦にしてる。うちのお祖父ちゃんは、そんなひとに莫迦にされたりする人とちがう。それに、うちは長女や。嫁に行けるからだと
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