子骨、六本骨、七本骨などがあって、巻骨は骨へ細い紙を巻いたもので、障子の骨のようになっているので、障子骨の名もある。六本骨七本骨は、普通の骨組みで、即ちX形に組んだ骨が這入《はい》っているのである。そうしてこの巻骨の障子骨は丈夫で良い凧としてある。なお上等の凧は、紙の周囲に糸が這入っているのが例である。
 糸は「いわない」またの名を「きんかん」というのが最もよいとしている。この凧に附随したものは、即ち「雁木《がんぎ》」と「うなり」だが、長崎では「ビードロコマ」といって雁木の代りにビードロの粉を松やに[#「松やに」に傍点]で糸へつけて、それで相手の凧の糸を摺《す》り切るのである。「うなり」は鯨を第一とし、次ぎは籐《とう》であるが、その音がさすがに違うのである。また真鍮《しんちゅう》で造ったものもあったが、値も高いし、重くもあるので廃《すた》ってしまった。今日では「ゴムうなり」が出来たようだ。それからこの「うなり」を、凧よりも長いのを付けると、昔江戸などでは「おいらん」と称《とな》えて田舎式としたものである。
 凧にも随分大きなものがあって、阿波の撫養《むや》町の凧は、美濃紙《みのがみ》千
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