《しし》、虎《とら》、龍《りゅう》、嵐、魚、鶴、などと大体凧《おおだこ》の絵や字は定まっている。けれども『三国志』や『水滸伝』の人物の二人立三人立などの細かい絵になると、高く揚《あが》った場合、折角の絵も分らないから、それよりも月浪とか童子格子とか、字なら龍とか嵐などがいいようである。長崎の凧は昔|葡萄牙《ポルトガル》や和蘭《オランダ》の船の旗を模したと見えて、今日でも信号旗のようなものが多い。
糸目のつけ方にはいろいろあって、両かしぎ[#「両かしぎ」に傍点]、下糸目、上糸目、乳《ちち》糸目、三本糸目、二本糸目、本糸目などがある。両かしぎ[#「両かしぎ」に傍点]というのは、左右へかしぐようにつける糸目で、凧の喧嘩《けんか》には是非これに限る。下糸目にすれば手繰《たぐ》った時凧が下を向いて来るし、上糸目にすれば下って来る。乳糸目というのは普通糸目の他に乳のように左右へ別に二本|殖《ふ》やすのである。二本糸目というのは、うら張りの具合で、上下二本の糸目でも充分なのである。本糸目というと、即ち骨の重《かさな》った所及び角々《かどかど》全部へ糸目をつけたものである。骨は巻骨《まきぼね》即ち障
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