ていたのでございます。
藤吉は毎晩のように来るようになりました。それは一ツは私から尺八を習おうという熱心であったでございますが、笛とか尺八とかいうものは性質《うまれつき》と見えまして藤吉は器用な男でありながらどうしても進歩いたしません。それでも屈せずブウブウ吹いていたのでございます。
お俊も遊びに来るようになりました。初めは二人で押しかけて参りましたが後には日曜日など、藤吉のいない時は昼間でも一人で遊びに来て、一人でしゃべって帰ってゆくようになったのでございます。私も後には藤吉の家に出掛けて夜の十二時までもくだらん話をして遊ぶようになりました。お俊はしきりに私の世話を焼いて、飯まで炊いてくれることもあり、菜ができると持って来てくれる、私の役所から帰らぬうちにちゃんと晩の仕度をしてくれることもあり、それですから藤吉がある時冷かしまして、『お前はこのごろ亭主が二人できたから忙がしいなア』と言ったことがあります。けれども藤吉は決して私を疑ぐるようなことはなく、初めはただ隣りづきあいでしたのが後には、なんでも身の上のことを打ち明けて私に相談するようになりました。それですから私もそのつもりで
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