大概同じでございますから始終顔を合わせますのでいつか懇意になり、しまいには大工の方からたびたび遊びに来るようになりました。
大工は名を藤吉と申しましたが、やはり江戸の職人という気風がどこまでもついて廻わり、様子がいなせ[#「いなせ」に傍点]で弁舌が爽《さわ》やかで至極面白い男でございました。ただ容貌《きりょう》はあまり立派ではございません、鼻の丸い額の狭いなどはことに目につきました。笑う時はどこかに人のよい、悪く言えば少し抜けているようなところが見えて、それがまたこの人の愛嬌でございます。
私のところへ夜遊びに来ると、きっと酒の香《におい》をぷんぷんさせて、いきなり尻をまくってあぐらをかきます。そして私が酒を呑《の》まぬのを冷やかしたものでございます。
そしてまた、しきりと女房を持てとすすめました。そのついでにどうかいたしますと、『君なぞは女で苦労したこともない唐偏木《とうへんぼく》だから女のありがた味を知らないのだ』とやるのです。御本人はどうかと申しますと、あまり苦労をしたらしくもないので、その女房も、親方が世話をして持たしてくれたとかいうのでございます。
けれども私は東京に
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