似《にや》わない色の白い、眼のはっきりとした女で、身体つきよくおさよに似てすらりとしていました。城下の娘にもあのくらいなのは少ないなどと村の者が自慢そうに評判していたのですが全くそうだと私も遇うたびに思っていたのでございます。でありますから、私も眼の前にお幸を突きつけられて、その兄から代って口説《くど》かれましては女難なぞを思うことができなかったのです。それに気の弱い私ですから、よしんば危いことと気がつきましたところで、とてもあの場合、武とお幸を振りきって逃げて帰るというような思いきった所作は私にはできないのでございました。
 その後は私も二晩置きか三晩置きには必ずお幸のもとに通いましたが、ごく内証にしていましたから、誰も気がつきませんでした。それに兄の武之允が何かにつけてかばってくれますし、また武の女房も初めからよく事情《わけ》を知っていて、やはり武と同じようにお幸と私の仲をうまくゆくようにのみ骨を折ってくれましたので私も武の家ではおおびらで遊んだものでございます。
 二人の仲は武の夫婦から時々冷かされるほど好うございました。かれこれするうち二月三月も経ち、忘れもしません六月七日の晩
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