東洋史上より觀たる明治時代の發展
桑原隲藏

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《》:ルビ
(例)流石《さすが》

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(例)※[#二の字点、1−2−22]

 [#…]:返り点
 (例)大不[#レ]字[#レ]小、
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         一

 歳月流るるが如く、明治天皇の後登遐後、早一年を經た。去る者は日に疎しといふが、千古の大英主たる明治天皇の御鴻徳のみは、深く我が國民の腦裡に印して、決して忘るることが出來ぬのみか、却つて時を經る儘に、愈※[#二の字点、1−2−22]景仰の念を増すばかりである。私は茲に明治天皇の御一週年祭に際し、東洋史上より觀たる明治時代の發展を述べて、聊かその御鴻徳の一端を偲びたいと思ふ。
 一體わが日本國は神武天皇御即位以來、二千五百餘年の長い歴史をもつて居るが、その割合に歴史の内容は豐富とはいへぬ。神功皇后の三韓御征服とか、豐太閤の朝鮮征伐とかいふ、大陸發展の場合が甚だ尠い。さらばとて平和の方面を觀ると、一層寂寞たるも
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