#二]後漢書[#一]。吾乃知[#丁]我二千年前之先民。有[#丙]以[#二]一身[#一]而兼[#乙]克(クライヴ)哈(ヘースチングス)二傑之所長[#甲]。(中略)斯眞千古之快男兒。斯眞世界之大英雄。斯何人。斯則班侯(定遠侯班超)是已。
と申して居るが、必ずしも溢美過褒といへぬ。
吾が輩が特に班超に心を寄せる所以は、彼はかかる種類の人物に普通な、殺伐殘忍などいふ缺點は微塵もなく、人格の如何にも温良恭謙なことである。
(一) 彼は母に事へてよく孝に、兄に對してよく悌であつた。
(二) 彼は家風とはいへ、文筆にも達して居つたことは『後漢書』の本傳の上疏を見ても明白である。
(三) 彼は決して塞外人を虐殺せなかつた。戰場での俘虜も、大抵はその生命を全くしてやつた。彼が塞外人の心服を得た一原因は、ここに在ると思ふ。和帝の詔書に班超の功を稱して、「得[#二]遠夷之和[#一]。同[#二]異俗之心[#一]」とあるのは此點を指したものであらう。
(四) 曾て李邑といふ者、班超を讒して、西域經營を中止せしめん陰謀を廻らしたことがある。その李邑がやがて班超の許に往きて、その命令を奉ぜねばならぬこととなつた。
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