W卷一に、
[#ここから2字下げ]
諸《スベテ》……爲[#二]祖父母、父母、伯叔父母、姑※[#「女+章」、第4水準2−5−75]及舅姑[#一]。割[#レ]股(奴卑爲[#二]本主[#一]同)竝委[#二]所屬[#一]。由覆[#二]朝廷[#一]。官支[#二]絹五疋、羊兩頭田一頃[#一]。以勸[#二]孝悌[#一]。
[#ここで字下げ終わり]
とあり、且つ『元史』に至元七年以後も、父母舅姑の爲に、股肉を割いた男女を旌賞した實例が疊見して居るに據ると、行孝割股不當の條文の、實際に於ける效力は疑問と申さねばならぬ。
 明の太祖は實際的政治家として、中々傑出し居るが、彼は割股行孝の流弊を知つて、新に之を制限した。明初に青州日照縣の住民に江伯兒といふ者があつて、その母が病に罹つた時、自分の肉を割いて進めたが、十分の效驗がない。彼は遂に神に願掛けして、母の病が平いだら、我が子を殺すことを誓つた。後幸に母が平癒したから、彼はかねての願掛け通り、三歳になる幼兒を殺して神に謝した。地方官憲は江伯兒を母に孝なる者として、旌表すべく上聞した。所が太祖は江伯兒の行爲は人倫を絶滅せる、以ての外の非行として、大に怒り之を
前へ 次へ
全107ページ中93ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
桑原 隲蔵 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング