フランスの Ferrand 氏が、『東洋古典叢書』(Les Classiques de l'Orient)の第七卷として、新にこの物語の佛譯を公にした。表紙には單に 〔Voyage du Marchand Arabe Solayman en Inde et en Chine re'dige' en 851〕 と題してあるが、その内容は Renaudot や Reinaud のそれと同樣で、前篇は Solayman 後篇は 〔Abu^ Zayd〕 の記録を收めてある。
『印度支那物語』はしかく早くしかく廣く、學界に紹介されたに拘らず、その内容は未だ十分に研究されて居らぬと思ふ。尠くともこの物語中に紹介されてある、支那人の風俗、習慣等に關しては、從來何等權威ある研究が發表されて居らぬ。Renaudot や Reinaud の古き註解がこの點に就いて不十分なることは、特に言明する迄もない。
吾が輩はこの缺陷を遺憾に思ひ、最近四五年來、アラビアと支那との交通を研究すると共に、この物語中に見えて居る支那人の風俗、習慣の研究にも手を着けた。研究の方針として吾が輩は、
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