`之人[#一]。紹興癸丑歳(西暦一一三三)。汎[#レ]海到[#二]錢塘[#一]。有[#下]至[#二]行在(杭州)[#一]猶食者[#上]。老嫂(痩?)男子婦女。更謂[#二]之饒把火[#一]。婦人少艾者。名[#二]之下羹羊[#一]。小兒呼爲[#二]和骨爛[#一]。又通目爲[#二]兩脚羊[#一]。唐止《タダ》朱粲一賊。今百[#二]倍于前數[#一]。殺戮、焚溺、飢餓、疾疫、陷墮。其死已衆。又加[#レ]之以[#二]相食[#一]。……不[#レ]意以[#二]老眼[#一]。親見[#二]此時[#一]。嗚呼痛哉。
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 この兩脚羊とは兩脚を有する羊の意味で、人間を羊同樣に食用するから起つた名稱である。和骨爛とは骨と肉を併せて火食する、下羮羊は『輟耕録』卷九に引けるものは不美羹となつて居る。これは羹の料に供するより起つた名稱で、饒把火とは肉硬くして燃料を多く要するより起つた名稱かと想ふ。
 元朝の末期に出た陶宗儀の『輟耕録』卷九にも、その當時の事實として、『※[#「奚+隹」、第3水準1−93−66]肋編』に劣らざる、否遙にそれ以上と認むべき悲慘な記事を傳へて居る。
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