ち前に申す通り明取りと煙出しになつて居る。蒙古人の火を焚くのは此處の中央で、煙は此處を上る。無論家の中で焚くのですが外部は皮で卷きてあるから平素は見えないけれども、今は了解に都合よきやうに見さしたのです(笑聲起る)。それからこの煙出し兼明取りの所はいろいろに色取るのです。此處は或は金を塗る人もあるし、それから黒くする人もあるし、青くする人もある。大抵同じ部族に屬する所のものは彼處の色で區別する。帳幕の色は違はない、此處の色が違ふ。彼處を赤く塗つた人はないけれども――ないこともないでせう、私見て來ないので能く分らないけれども(大笑)、青とか金とか言ふのはあるけれども、赤は餘りないさうです。それから此廣さです。此處から此處の廣さは是れは一樣には無論往かない。身分の高い人は大きい所に居りまして、身分の低い人は小さい處に居ますから一樣には言へないが、併し一番廣いので帳幕の直徑が三十呎です。三十呎四方ですから隨分大きいです。五六間ばかりです。先づ大抵此部屋の長さほどある是れが圓くなつて居りますから無論面積は此部屋よりも隨分廣いです。それからして入口は屹度南向きである。そして其處には皮で幕を垂れて
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