程甘いさうです。善い所を取て年を經て十分精製したのがカラクーミー。是はなかなか普通の人には飮めないのである。身分のある人でなければ飮めぬ。蒙古人は此クーミー或はカラクーミーを非常に用ゐるですから、大抵身分のある人は牝馬を澤山養つて其乳を搾らす。例へて云へば拔都《バツ》の如きは自分の所有として三千の牝馬を飼つて居る。それから毎日乳を搾らせて自分の飮料にしてある。蒙古人の酒を飮むときには先づ一番先に家の中の神樣に捧げる。それから續いて家で酒を飮む前に一家の下男が其酒を持つて天幕の外へ出て、さうして東西南北へ以て三遍づつそれを撒きます。或は風の神にやるとか、或は是は何の神にやるとか云つていろいろ儀式があります。兔も角も南へ三度、東へ三度、北へ三度といふ風に撒きまして、それから後で家の者が飮むです。それから一家の主人が飮んで居る間は他の男の者は主人の前で手を拍いて踊りて興を助け、若しも一家の主人の女房が飮む時分には他の女供が其前に行つて踊ります。無論樂器を奏することもあります。
 それから一つ面白いことは蒙古人が客に酒を勸める時です。御客樣があつてクーミーでも飮ます時分には一人は酒を注いだ盃を
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