り括り付けます。蒙古の女は馬に乘ります。小さい時分から馬乘りの稽古をします。蒙古の婦人がこの  Bocca を冠りて馬に乘りて居る所を遠くから見ると恰も騎兵が馬に乘つて來ると同じことで、此女などが澤山寄つて一緒に列んで馬に乘つて來るのを見ると、騎兵が自分の方へ襲撃して來るかの如く見える。何故かといふと Bocca の頂の所が騎兵の槍のやうに見えますからして(笑聲起る)、其冠物の皿が兜のやうに見えますから、臆病なる外國人は蒙古の婦人を見ても逃出し兼ねぬのです。蒙古の騎兵が來たかと思うて。次に蒙古の女は、能く肥滿つて居ります。それから鼻が低いです。どうも日本人が西洋人を見ると、鼻が隆い、鳶のやうな鼻をして居るとか何とか言ひますが、先刻申した所のプラノ・カルピニとかルブルックといふ先生達は、西洋人ですから鼻の隆つたに違ひない。それで蒙古人を見ると鼻が低い。鼻が低いといふよりもまるで鼻がない。唯顏の眞中に穴が二つ開いて居ると書いてあります(笑聲起る)。鼻が低いのですから彼等が見ると殆ど鼻がないやうに見えるでせう。酷いことを書いてある。顏の眞中に穴が二つ開いてあると云ふ。女は西洋でも日本でも顏に
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