何頭で曳いても動きさへすれば宜いですけれども、餘計なのになると二十二頭で曳くこともある。三頭でも曳くし五頭で曳くこともある。ずつと大きいものになると二十二頭で曳くです。それを前列に十一頭、其後へも十一頭持て來て、それを馭する者が此處へ乘るです。蒙古の牛でも馬でも極めて柔順で、日本のやうに惡荒れをしませぬから、此處で鞭なりを一つ持つて方向さへ示せば、極めて温和しく行くです。是れで家移りをする。是れは男ですが、時によると女でも樂にやる。蒙古の女などは強うございますから、馬に曳かした車の二十輛や三十輛は一人して連れて行くです。途中で馬の荒れることもないのですから、先づ住所の話は夫れ位にして、其次は、
 衣服及び頭飾の話 蒙古人が着ます衣服は、夏は絹或は木綿の物を使ひます。それは大抵支那からして輸入されるのであります。木綿はペルシアからして輸送される。けれども冬は毛皮を着ます。寒い地ですから、其毛皮はロシアから或はその附近のブルガリヤなどから來るのであります。毛皮の衣服を着ました其上へ、蒙古人は大抵二枚の外套を着ます。それは二枚とも毛付きの外套です。一枚の下の方へ着る外套は裏毛になつて居る。そ
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