ふものを臧むるには倉庫がある。其の倉庫と云つても日本の倉庫とは違つて、矢張り帳幕で出來て居る。さきの帳幕と同じ形であるが、もう少し小さくつて丈夫で、それは必ず駱駝に曳かす車の上に載せるやうに出來てある。其倉庫へは寢道具、蒲團とか掻卷とか其外のいろいろの道具寶物を入れてある。其倉庫の數は身分に應じて餘程違ふ。立派な人は百も二百も持つて居る。少い人は一つも持つて居らぬ(笑聲起る)。さうして夫れを斯ういふ風に置く。二十なり三十なり數はどうでも宜いですが、それを必ず住所の帳幕の左右兩邊へ斯ういふ風に置く(この時圖を描く)。車が二十ほどあると此方へ十此方へ十列べて置く。丁度垣の代りになる。是れは決して車から降さぬ。駱駝に曳かした車の上に載せてある。二百もあれば二重にすることもあるし、長くすることもある。又隣りに住所があれば之も同樣に住所の左右へ倉庫を置く故墻が二重になる譯です。倉庫が一つもなければ隣の方の垣を借用する譯です(笑聲起る)。寶や道具を臧めた倉庫を斯ういふことをして置いたら盜人が入りさうなものですが、蒙古人には盜人がない。蒙古人はまるで盜人といふことはしませぬ。後に申す通り蒙古人は絶え
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