五葉の松
横瀬夜雨
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)肌《はだ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)木|肌《はだ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている」、第4水準2−13−28]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例))だん/\に
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庭に生えてゐる木に、親しみを持つは人情である。故郷を離れた人にとつても、然でなければならない。私のやうに一生を蝸廬に過して足一歩も出でぬ者にしては、眼前數尺の自然は殆んど全天地である。一木一草にも感慨は伴ふ。
何代か前に菩提所から移したといふ五葉の松がある。座敷からは幹しか見えず、屋根を痛めるばかりなので、伐らせようとしたら、六七里四方にこれ程の五葉はありません、惜しいぢやありませんかと庭師に留められて、五六間ほど西へ引かせた。高い幹を途中から伐つたので、今のところ形はまづい。
もとは根のぢき上から枝が出てゐて
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