り、自ら「花守」と名乘て出られた。
[#ここから1字下げ]
しかし花は綺麗ですよ。今六つばかり咲いてゐますが、色として無い色はありませぬ。葉※[#「奚+隹」、第3水準1−93−66]頭にもいくつ色があるか數へきれぬ。(ニユーヨルク[#「ニユーヨルク」はママ]のヘンデルソン商會の種子なり)おしろいは黄と紅と、夜顏は藤紫と雪白と、ハルシヤ菊は白色と淡紅色とを八重と一重に、アメリカ白蘚は淡紫色、うらしま菊は八いろの色、千紫萬紅ホンとに君に見せて色の講義をきゝたい位です。
[#ここで字下げ終わり]
又近頃は村の子供を集めて寺小屋を開いてをらるゝといふのです。「花守」と「お師匠」さま、何といふ詩的の生活であらう。夜雨君の如きは頭のギリ/\から足のツマ先まで、全部詩の化身といふてよいでしよう。
八月十八日[#地から10字上げ]伊豆伊東にて
[#地から2字上げ]友人 伊良子清白
夜雨は薄幸の詩人なり、幼ふして身、已に病を懷き、室に筑波の翠微を仰ぎて、而も脚多く戸※[#「片+(戸の旧字+甫)」、第3水準1−87−69]の間を出でず、宜なるかな、凄思欝結して詩となるところ、哀音惻々として一に
前へ
次へ
全52ページ中16ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
横瀬 夜雨 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング