銃剣」に「×」の傍記]を見てビクビクしだした。
「なんだい! こんな苦力の番が何で必要があるんだい!」
 俺は吐き出した。
 少尉はしばらく俺を睨みつけていた。そしてとうとう彼は云った。
「じゃ、君は帰ってよろしい!」
「帰るべえ。何だい!」俺はそういって歩き出した――しかしこのために、俺は近々事務所を首になるかもしれない。



底本:「日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集(七)」新日本出版社
   1985(昭和60)年3月25日初版
   1989(平成元)年3月25日第4刷
底本の親本:「文学新聞」
   1931(昭和6)年11月10日号
※親本(初出)の伏せ字は、底本では編集部によって復元され、当該の箇所には×が傍記されている。
入力:林 幸雄
校正:山根生也
2002年2月19日公開
2006年4月3日修正
青空文庫作成ファイル:
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