した植民地を保持するために戦争をやっていたのだ。独逸の帝国主義者は、又、イギリスやフランスの多過ぎる植民地を、公平に分配をやり直そうとして戦っていたのであった。この次に来る戦争に於ても、又こういうことが起るであろう。そうして無産者は、屠殺場の如き戦場へどん/\追いやられるだろう。
 しかし、プロレタリアートは、泥棒どもが縄張りを分け取りにするような喧嘩に、みす/\喧嘩場へ追いやられて、お互いに、――たとえば膚の色が異っていようとも――同じ貧乏人同志が傷つけあいをやり殺し合いをやることに絶対に反対しなければならない。そうして、泥棒同志の喧嘩を利用して泥棒制度全体をなくすることを考えるべきである。
 それがためには、プロレタリアートは、その戦争が何のためになされているかを闡明《せんめい》しなければならない。
 反戦文学は、こゝに於て、戦争が何のために行われるか、その真相を曝露し、その真実を民衆に伝え、民衆をして奮起させるべきである。泥棒どもが、なお安全に、最も悪い泥棒制度を維持しようがためにやっていることを白日の下に曝す必要がある。
 吾々の文学はプロレタリアートの全般的な仕事のうちの一分
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