学工場からは、毒瓦斯を、肥料工場からは――肥料会社は、肥料を高い値で百姓に売りつけるが、必要に応じて、そこから火薬が出来るようになっている。無線電信も、鉄道も、汽船も、映画や、演劇までも、帝国主義ブルジョアジーは、それを××のために、或は好戦思想を鼓吹するために使っているのである。あらゆるものがすべて軍事上の力を増大するために集中されている。が、それは、ブルジョアジーにとって、目的ではなく、手段である。彼等はその軍国主義によって、現在の搾取制度を一日でも長く、確実に維持しようとしている。そして、無産階級圧迫をどこまでもつづけようとする。それが彼等の目的である。だから軍国主義は、外国との××のためばかりでなく、国内に於ける、無産階級の××にも備えてあるのだ。農民の暴動や大ストライキに××が出動するのは、それを裏書きする一つの証拠である。
 そこで、そういう、帝国主義的、――軍国主義的実質を曝露し、労働者農民大衆に働きかけ、大衆をして×起させることは、プロレタリア文学の任務である。これは、戦争が起っていない平和の時期に於ても、常に継続しなければならないのは、云うまでもない。この場合、吾々の力点は主として、軍国主義の実質の曝露にある。つまり、反軍国主義文学にあるのだ。

      三

 平時に於ては、主として反軍国主義文学に力点を置く、ということを述べたが、しかし、勿論、それに限ったことではない。どういう内容を扱ってもそれは自由である。そして、なお、次に述べようとする内容をも併せて、取扱って一向差支ない。たゞ、主として、力点をアンチ・ミリタリズム文学に置くと云ったまでのことである。
 帝国主義ブルジョアジーは、平時から、殖民地の××他民族の隷属、労働運動の抑圧政策をとる。その政策が継続し、発展してついには、××手段による戦争が起ってくる。が、戦争が起ると、必ず帝国主義ブルジョアジーを代表する政府にとっても、危険な状勢が発生して来る。労働者、農民大衆の××に対する政府の不安は増大して来る。例えばロシアに於ては、日露戦争の後に千九百五年の××が起り、欧洲大戦の終りに近く、千九百十七年の××が起っている。パリー・コムミュンの例をとって見ても、この事実は肯かれる。プロレタリアートは、その時期を××しなければならぬ。
「××××戦争を××へ!」これを力説強調して、労働者、農民大
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