ルジョアジーが××の××的分割をやろうとしていることゝ共に、ソヴェート・ロシアに対する他のもろ/\の帝国主義国家が衝突しようとする危機も迫りつゝあることに、注意を喚起しておきたい。これは、いろ/\な意味で、吾々の関心を最も強く引きつける問題である。

   三、反戦文学の恒常性

      一

 戦争反対の思想、感情を組織して、労働者農民大衆に働きかける文学は、戦争が行われている時にのみ必要であるか。戦争が起っていない平和な時期に於ては、戦争反対文学は必要ではないか? いや、必要である。
 資本主義制度が存続している限り、××が絶滅される時期はやって来ない。ひとたび××××戦争によって、世界が分割され、平和な時期がやって来ても、又、次の××××戦争がやって来る。欧洲大戦が終結して平和がやってきた。しかし、それから十年も経ないうちに、又、今度は××を中心にして資本の属領争奪戦が次第に鋭くなってきた。これは、新しい世界の分割に到る性質を持っている。而して、それは、戦争を引きおこさなければやまない。ブルジョア政府は、ひたすら、戦争の準備に余念がない。資本主義的平和は、その実質を見ると、次の戦争への準備にすぎないのである。科学的発明も、化学工業も、鉄道敷設も、電信も道路の開通も、すべてが、資本主義の下にあっては、戦争準備の目標に向って集中されている。それは直接間接にプロレタリアの生活に重大な関係を持っている。反戦文学の恒常性はこゝに存在する。資本主義制度が存在する限り、プロレタリアートの反戦文学も存在し、それに向って戦わなければならない。

      二

 反戦文学は、勿論、兵営や、軍隊生活のみを取扱う文学ではない。資本主義は、次の戦争に備えるために、あらゆるものを利用している。労働者、農民の若者を××に引きずりこんで、誰れ彼れの差別なく同じ××を着せる。人間を一ツの最も使いいゝ型にはめこんでしまおうとする。そうして、労働者農民の群れは、鉄砲をかついで変装行列のような行列をやりだす。――これは、帝国主義ブルジョアジーが××によって、プロレタリアートを搾取する、その準備にやる行為の一ツである。そのほか、学校も、青年訓練所も、在郷軍人会も、彼等の××のための道具となっている。製鉄所も、化学工場も、肥料会社も――そして、そこに働いている労働者が――戦争のために使われる。化
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