ニ彼は肚の中でささやいた。
一方フョードル・パーヴロヴィッチは、わが子を送り出してしまうと、非常な満足を感じた。まる二時間ものあいだ彼はみずからを仕合わせ者のように感じて、ちびりちびりとコニャクを傾けたほどである。ところが不意に、すべての家人にとってこのうえもなくいまいましく、このうえもなく不愉快な事件が家内にもちあがって、たちまちフョードル・パーヴロヴィッチの心を混乱に陥れてしまった。スメルジャコフが何かの用で穴蔵へ行って、いちばん上の段から下まで転げ落ちたのである。それでもマルファ・イグナーチエヴナが庭に居合わせて、さっそくその物音を聞きつけたのはまだしも幸いであった。彼女は落ちるところこそ見なかったが、その代わり叫び声を聞きつけたのである。それは一種特別な奇妙な叫び声ではあったが、もうずっと前から聞き覚えのある癲癇《てんかん》持ちが発作を起こして卒倒する時の叫び声であった。彼は階段をおりる途中で発作を起こしたのだろうか? それならば、もちろんそのまま、覚えなしに下まで転げ落ちるのが当然である。それとも反対に、墜落と震盪《しんとう》のために、生来の癲癇持ちであるスメルジャコフにそ
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