ネいでたらめなんだよ、女房が死ぬどころか、今でもぴんぴんしていて、三日に一ぺんはきまって亭主野郎をなぐっているんだ。そんな風だから、今度も一万一千ルーブルで買うというのも、本当か嘘か、それを突き止めないではと思うのさ」
「そんなんじゃあ、僕なんかなんの役にも立ちませんよ、僕には眼力なんかありませんから」
「いや、待て、そうでない、おまえでも役に立つぞ、今わしがあの男の、つまりゴルスツキンの癖をすっかり教えてやるわい、わしはもうだいぶ前からあの男と取り引きをしておるからな。いいか、あの男はまず髯《ひげ》を見なくちゃならんのだ、あいつの髯は赤くてよごれてちょろちょろしとるが、その髯を震わしながら腹を立てて物を言うときは、つまり何も言うことはない、あいつは本当のことをしゃべっているんだ、まじめに取り引きをする気があるんだ。ところが、もし左の手で髯をこうなでながら、笑っているときは、つまり瞞着《まんちゃく》しようと思って悪企みをしてやがるのだ、あの男の眼はけっして見るのじゃないぞ、あいつの眼では何もわかりゃせんぞ、悪党だからな――つまり髯さえ見ていればいいのさ、わしがあの男に当てた手紙をおまえ
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