閧キるんだよ――え、アリョーシャ、おまえはこの不合理な話が説明できるかい。僕の弟で、親友で、神聖な新発意《しんぼち》のおまえは、いったい何の必要があってこんな不合理が創られたものか、説明ができるかい! この不合理がなくては人間は地上に生きて行かれない、なぜなら、善悪を認識することができないから――などと、人はよく言うけれど、そんな代価を払ってまで、ろくでもない善悪を認識する必要がどこにあるんだ? 認識の世界全体をあげても、この子供が『神ちゃま』に流した涙だけの価もないではないか。僕は大人の苦悩のことは言わない。大人は禁断の木の実を食ったんだから、どうとも勝手にするがいい。みんな悪魔の餌食《えじき》になってしまったってかまいはしない、僕がいうのはただ子供だけのことだ、子供だけのことだ! おや、僕はおまえを苦しめてるようだね、アリョーシャ、なんだか人心地もなさそうじゃないか。もしなんなら、やめてもいいよ」
「大丈夫です、僕もやっぱり苦しみたいんですから」とアリョーシャはつぶやいた。
「もう一つ、ほんのもう一つだけ話さしてくれ。これも別に意昧はない、ただ好奇心のためなんだ。非常に特殊な話なん
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