l間の顔は愛に経験の浅い多くの人にとっては、時おり愛の障害になると言っておられました。しかし、人間性の中には実際、多くの愛が含まれていて、ほとんどキリストの愛に等しいようなものさえありますよ。それは僕自身だって知っていますよ。イワン……」
「でも、今のところ、僕はまだそんなのを知らないし、理解することだってできないよ、そして数えきれない大多数の人間も僕と同じなんだ。問題は、人間の悪い性質のためにこんなことがおきるものか、それとも人間の本質がそういう風にできているのか、という点にあるんだ。僕の考えでは、人類に対するキリストの愛は、この地上にあり得べからざる一種の奇跡なんだよ。なるほどキリストは神であった。けれど、われわれは神じゃないんだからね。よしんば僕が深い苦悶を味わうことができるにしても、どの程度まで苦悶しているのか、他人にはけっしてわかるもんじゃない。だって、他人は他人であって僕ではないから。それに、人間というやつはあまり他人を苦悩者として認めるのを喜ばないものなのだ、(まるでそれが礼儀でもあるようにね)どうして認めたがらないと思う? それはたとえば僕の体にいやな臭いがあるとか、僕
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