だ。この生活欲は性質からいうと幾分カラマゾフ的だね。それは事実だ。いずれにしてもこの生に対する渇望はおまえの心中にだって潜んでいるよ。必ず潜んでいるよ。しかし、どうしてそれが下劣だというんだ? 求心力というやつはわが遊星上にはまだまだたくさんあるからな、アリョーシャ。生きたいよ。だから、僕はたとえ論理に逆ってでも生きるんだ。たとい物の秩序を信じないとしても、僕にとっては春の芽を出したばかりの、ねばっこい若葉が尊いのだ。青い空が尊いのだ。時には全く何のためともわからない、好きになる誰彼の人間が尊いんだ。そして今ではもうとうにそれを信じようとさえしなくなっていながら、しかも古い習慣から感情の上で尊重しているある種の人間的な功名心が尊いんだ。さ、おまえの魚汁《ウハー》が来た、うんとやってくれ、うまい魚汁だよ、なかなか料理がいいぞ。僕はね、アリョーシャ、ヨーロッパへ行きたいのだ、ここからすぐ出かけるつもりだ。といっても、行く先がただの墓場にすぎないことは、百も承知している。だがその墓場は何よりもいちばんに貴い墓場ということが肝心なんだ! そこには貴い人たちが眠っている。その一人一人の上に立って
前へ
次へ
全844ページ中680ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ドストエフスキー フィヨードル・ミハイロヴィチ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング