のほうでお茶を飲んでいるだけであった。それに反して、他の部屋では、料理店につきものの騒々しい音――ボーイを呼ぶ叫び声や、ビールの口を抜く音や、玉突きのひびきが沸きたっていて、オルガンのうなり声が聞こえていた。アリョーシャは、イワンがこの料理屋へほとんど一度も来たことがないということも、概して彼が料理屋というものを好かないということもよくよく知っていた。だから、イワンがここへ来たわけは、ただドミトリイに会う約束のためであろうと考えた。ところが、兄ドミトリイの姿はそこになかった。
「魚汁《ウハー》か何かあつらえようかね。まさか、おまえもお茶ばかりで生きてるわけでもあるまいからね」と弟をつかまえたことに、ひどく満足したらしい様子でイワンが言った。彼自身はもう食事を終わって茶を飲んでいたのである。
「魚汁をください、そのあとでお茶もいただきましょうよ、僕すっかりおなかが空《す》いてるんです」とアリョーシャは愉快そうに答えた。
「桜ん坊のジャムはどうかえ? ここにあるんだよ。覚えてるかな、おまえは小さい時分にポレーノフの家にいて、桜ん坊のジャムが大好きだったじゃないか?」
「そんなことをよく覚え
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