兵隊なんてものがすっかり消えてなくなればいいと思いますよ」
「じゃ、敵がやって来たとき、誰が国を守りますの?」
「そんな必要は少しもありませんよ。十二年に、フランスの皇帝ナポレオン一世が(今の陛下のお父さんですがね)、ロシアへ大軍を率いて侵入して来ましたが、あのときにフランス人たちがこの国をすっかり征服してしまえばよかったんですよ。あの利口な国民がこのうえなしにのろまな国民を征服して、合併してしまってでもいたら、国の様子もがらりと変わっていたでしょうにねえ」
「じゃ、外国の人はロシア人より偉いとおっしゃるんですか? わたしはロシアのハイカラな人の中には、どんな若いイギリス人を三人くらい束にして来ても、取りかえたくないと思うような人がありますのよ」と、マリヤは優しい声で言ったが、そう言いながら、ものうい眼で男を眺めたのに違いない。
「そりゃあね、めいめい好き好きがありますからね」
「それに、あなた御自身がまるで外国人のようですわ。生まれのいい外国人にそっくりよ。こんなことを言うの、わたし、きまりが悪いんだけれど」
「よかったら話しますがね、女好きなところはロシア人も外国人も似たりよったり
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