「いったい僕が信じてたのは悪いことなんでしょうか?」と不意にアリョーシャは笑いだした。
「嘘よ、アリョーシャ、かえっていいことだわ」とリーズは仕合わせらしい眼つきで優しく相手を眺めた。
 アリョーシャはやはり自分の手のなかに、彼女の手を取ったまま、じっと立っていたが、いきなりかがみかかってその唇のまん中へ接吻した。
「どうなさったというの? いったい、あなたどうなすったの?」とリーズは叫んだ。
 アリョーシャはすっかりまごついてしまった。
「もし間違っていたら御免なさい……ひょっとしたら、僕のしたこと、ひどくばかげたことだったかもしれませんね……あなたが僕を冷たいなどとおっしゃるもんだから、僕思わず接吻してしまったんです……しかし実際、妙なぐあいになってしまいましたね……」
 リーズはいきなり吹き出して、両手で顔を隠してしまった。
「おまけにそんな着物で!……」と言う声が笑いのあいだから漏れて聞こえた。
 が、急に彼女は笑うのをやめて、すっかりまじめな、というよりはむしろいかつい顔つきになって、
「ねえ、アリョーシャ、わたしたちは接吻はまだまだ控えなくちゃならないわ。だって、まだそ
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