。ねえ、リーズさん、見下げられている人間には、みんなに恩人のような顔をされるのを見るのがとてもつらいことなんですよ……僕はこんな話を聞きましたよ。長老が僕に聞かしてくれたのです。どう言っていいかわからないけど、僕は自分でよく見受けました。それに自分でもよくその気持がわかりますよ。ところで、何よりもいけないのは最後の瞬間まで、紙幣《さつ》を踏みにじろうなどとは、夢にも思ってなかったにしても、やはり予感していたらしいことです。これはもう間違いありません。なぜって、あの人の喜び方があまり激しかったので、あの人はそんなことを予感したのです。……それはたとい、みんないやらしいことであったにしろ、やはり好都合にいったのです。僕のつもりではこのうえもなく都合よくいったとさえ思っていますよ……」
「どうしてですの、どうしてこのうえないほど都合よくいったんですの?」リーズは非常に驚いたような眼つきでアリョーシャを見つめながら、叫んだ。
「そのわけはね、リーズさん、あの人がたとい金を踏みにじらないで持って帰ったとしても、家へ帰って一時間もしたらきっと自分がはずかしめを受けたと思って泣くでしょう、必ずそうな
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