くしの証文を楯《たて》にとって、裁判ざたにしようとしてらっしゃるんでございますよ。こんなことのために、わたくしも、黙ってしまったわけでして。また、あなたも、わたくしの内を御覧になったわけなんです。ところで、ちょっと、お伺いいたしますが、あの子はさきほどひどくあなたのお指をかんだんでございますか? お屋敷の中で、あの子のいる前では、どうにも詳しいことにわたるのが気がひけたものですから」
「ええ、ずいぶんひどいんです。それに、坊ちゃんもたいへん気が立っていたようですから。あの坊ちゃんは、僕をカラマゾフの一族として、お父さんのあだ討ちをしたのです、それが今になってよくわかってきました。でも学校の友だちと石の役げっこをしてるところを、あなたが御覧になったら、どうでしたろう? それこそ危なかったですよ。なにしろ子供で、分別もありませんから、皆で坊ちゃんを殺してしまうかもしれませんよ。石が飛んで来たら、頭なんか割れるかもしれません」
「いや、もう当たりましたんでございますよ、頭でなくて、胸をやられたんですが、心臓のちょっと上の辺に石が当たったとかで、あざができて、今日は泣いたり、うなったりして、帰
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