よ」と彼は客の手を取って、この男には思いがけないくらいの力で、いきなりアリョーシャを引き起こした、「あなたは婦人に引き合わされていらっしゃるのですから、お立ちにならなければなりません。この人はね、母ちゃんや、あのカラマゾフとは違うんだよ。わしをその……ふむ! その弟さんで、品行の正しい、おとなしい立派なおかたなんだ。失礼でございますが、アリーナさん、失礼でございますが、ねえ、母ちゃんや、まずもって、あなたの御手を接吻させてくださいましな」
と言って、彼は妻の手に、うやうやしく、優しく接吻までするのであった。窓ぎわの娘はこの光景をみると癪《しゃく》にさわって、背を向けた。高慢らしく、物問いたげにしていた妻の顔は、急になみなみならぬ愛想のよさを示した。
「よくいらっしゃいました、チェルノマゾフ(黒んぼ)さん、さあおかけなさいまし」と彼女は言った。
「カラマゾフさんだよ、お母ちゃん。カラマゾフさんだよ……なにしろ、わたくしたちは素性の卑しい者でございますからね」と彼は再びささやいた。
「まあカラマゾフでも何でもいいけれど、わたしはいつもチェルノマゾフです……さあ、おかけなさいな。いったい、
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