くのを待っているのかしら。しかし、まあ、ドアをたたいてみたほうがいいだろう』と考えて、彼は戸をたたいた。すると、返事の声が聞こえたが、それもすぐではなしに、十秒くらいたったろうかと思われるころであった。
「いったい誰?」と腹立たしそうな大声で誰かがどなった。
 で、アリョーシャはドアをあけて閾《しきい》をまたいだ。彼のはいった小屋はかなりに広かったが、ごたごたした道具や家族の人たちで、足の踏み場もないくらいであった。左手には大きなロシア風の暖炉《だんろ》があった。暖炉から左側の窓にかけて、部屋いっぱいに繩《なわ》が渡されて、色とりどりなぼろが下がっていた。両側の壁のそばには、右にも左にも、寝台が、一つずつ据えてあって、編み物の夜着がかかっていた。左側の寝台には、大きいのから順々に、更紗《サラサ》の枕が四つ並べられて、小山のように積み重なっている。右側のもう一つの寝台には非常に小さな枕が、たった一つ見えるだけであった。それから手前のほうの片隅には、はすかいに繩を引いた上にカーテンとも敷布ともつかないものをつるして、少しばかり仕切りをしたところがあった。この仕切りの向こうにもベッドがあった
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