う一つ、なんと言っていいか、わかりませんけど、義務よりも、もっと高いものがあるんです。心の中に、こういったような押えることのできない感情があることは、わかってます。そしてこの感情がわたしをぐんぐん引っぱって行くのです。でも、何もかも一言で言い尽くすことができます。わたしはもう決心しました。たとい、あのかたが、あの……わたしにはどうしても、どうしても許すことのできない売女《ばいた》と結婚なすっても、(と彼女は重々しげに言いだした)わたしはやはりあの人を見すてませんわ[#「わたしはやはりあの人を見すてませんわ」に傍点]! 今からけっして、けっして、見すてないつもりですの!」と彼女はやるせなげな、いたいたしい感激が、急にほとばしったような調子で言うのであった、「でも、なにもあの人の後を追っかけ回して、あの人の眼の前へうるさく顔を出して、あの人を苦しめようというのじゃありませんの。いいえ、どういたしまして。わたしはどこへでも、お望みの町へ越して行きます。けれど、わたしは死ぬまで、たゆむことなく、あの人を見張るつもりです。もしあの人があの女といっしょになって、不幸にでもなんなすったら、それは今に
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