った。彼は二人の兄を両方とも愛してはいるが、この恐ろしい矛盾の中にあって、一人一人に何を望んでやったらいいのであろう? この迷宮にはいったら、誰しも途方に暮れてしまうであろう。ところが、アリョーシャの心は暗々裡に葬られることをいさぎよしとしない。なぜといって、彼の愛というものが実行的な性質のものだからである。消極的な愛は、彼には不可能なことであった。ひとたび愛したとなると、すぐに救済に取りかかるのである。このためには確固たる目的を立てて、それぞれの人にどんなことが望ましく、また必要であるかということを、正確に知らなければならぬ。こうして目的の正確なことを確かめてこそ、はじめて自然なやり方で、おのおのに助力を与えることができる。ところが、今は何事も正確な目的の代わりに、曖昧《あいまい》さと混乱とに満たされているのである。たった今、『破裂』ということばが出たが、しかしこの『破裂』ということばをなんと解釈したらいいのか? このあらゆるものが混沌《こんとん》としている中では、最初の一句からして、もう彼にはのみこめないのである。
 カテリーナはアリョーシャの姿を見るやいなや、席を立ってもう帰りじ
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