してイワンではないのだと直感した。たしかにドミトリイは、たとい長い月日を要するとしても、いつかは彼女に屈服して、しかも幸福を感じ得るに相違ない(それはアリョーシャのむしろ望むところであった)。しかし、イワンはそうではない。イワンは彼女に屈服することもできないし、また屈服しても幸福になろうはずがないのである。アリョーシャはどういうわけか、心の中で、イワンに関してこういう風な考えを形づくっていたのである。彼が客間にはいったとき、こうした動揺と想像が彼の頭をかすめていった。するとまた別な考えが、またもや不意に、おさえることのできない力をもって、彼の心に忍びこんできた。『もしも、この人が誰も愛していなかったらどうだろう、二人とも愛していなかったらどうだろう?』と。
ついでにいっておくが、アリョーシャはこういう風に自分の考えを恥ずかしがるような気味で、この一か月のあいだ、どうかして、こういう考えが浮かんでくるたびに、自分で自分を責めるのであった。『いったい、自分なんかに愛だの女性だのということが少しでもわかるかしら? いったい、どうしてこんな結論ができるのか?』こういったような考えや臆測をした
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