そんな冗談を言うもんじゃなくってよ。でも本当に寝《やす》んだらどう!」とホフラーコワ夫人は叫んだ。
「僕にはわかりません、どうしてこう……僕はもう三分ほどここにいます。もしなんなら、五分でも」とアリョーシャはつぶやいた。
「五分でもって! ねえ、お母さん、早くこの人を連れてってちょうだいよ、この人はお化けだわ!」
「リーズ、おまえは気でも違ったのかい。さあ、まいりましょう、アレクセイさん。この子は今日あんまり気まぐれがひどすぎますよ、わたし、この子の気をいらいらさせるのがこわくてなりません。ああ、神経質の女を相手にするのはつらいですね。アレクセイさん! でも、本当にこの子はあなたのそばにいるうちに、眠くなったのかもしれませんよ。まあ、よくそんなに早く、この子に眠気をつけてくださいましたわね、本当にいいあんばいでしたわ!」
「あら、まあ、お母さんはたいへん愛想のいいことを言えるようになりましたわね。御褒美《ごほうび》にあたし接吻してあげるわ」
「じゃ、わたしもおまえを。ところで、アレクセイさん」アリョーシャといっしょに部屋を出ながら、夫人は秘密めかしいものものしい調子で早口にささやいた、
前へ 次へ
全844ページ中537ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ドストエフスキー フィヨードル・ミハイロヴィチ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング