gをかわす暇もないうちに、両手で彼の左手を握りしめて、首をかがめたと思うと、いきなりぎゅっと中指にかみついて、しっかり食いついたまま、十秒間ほど放そうともしなかった。アリョーシャは精いっぱい自分の指をもぎとろうとしながら、痛みに耐えかねて叫び声をあげた。少年はついに、指を放して後ろへ飛びのくと、以前と同じ隔たりをおいて突っ立った。指は爪のすぐそばを深さ骨に達するほど歯を立てられて、血がたらたらと流れてきた。アリョーシャはハンカチを取り出して、傷のところをしっかりと巻きつけた。そのあいだ、ほとんどまる一分間ほどかかったが、少年はじっと立ったまま待ち受けていた。ついにアリョーシャはその方へおだやかな視線を向けた。
「さあ、これでいい」と彼は言った、「ね、御覧、ずいぶんひどくかんだじゃないか。でも、これで気がすんだろう、ね? さあ、今度こそ教えてもらおう、僕がいったい、何をしたというの?」
少年はきっとして彼の顔を見つめた。
「僕はまるで君を知らないし、会ったのも今がはじめてなのに」アリョーシャはやはり落ちついた調子でこう言った、「しかし、僕が来もしないってはずはないだろう。君がなんのわけ
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