ゥけた小学生で、背の格好から見ると、まだ十になるかならずであった。青白い弱々しげな顔をして、黒い眼を光らせている。後は注意深く試験でもするように、六人の子供の群れを眺めていた。彼らは明らかに友だち同士で、今しがた、いっしょに学校から出て来たばかりであるが、平生からあまり仲がよくないのだということは、ちょっと見ただけでも察しがついた。アリョーシャは白っぽい髪の渦を巻いた血色のいい一人の子供に近づいて、黒の短い上着を着た姿を見回しながら話しかけた。
「僕が君たちと同じような鞄をかけてた時分、みんな左の肩にかけて歩いたものだよ。それは右の手ですぐに本が出せるからさ。ところが君は右の肩にかけてるが、それでは出すのにめんどうじゃないの?」
アリョーシャは別に前々から用意した技巧を弄《ろう》するまでもなく、いきなりこうした実際的な注意をもって会話を始めた。全く大人《おとな》がいきなり子供の――特に大ぜいの子供の信用を得るためには――これよりほかに話の始めようがないのである。まじめで実際的な話を始めること、そしてまるっきり対等の態度をとること、これが何より肝心なのである。アリョーシャにはこれが本能
前へ
次へ
全844ページ中512ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ドストエフスキー フィヨードル・ミハイロヴィチ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング