ヘ、まるで精神の違うやつだ。まるでわしがあいつに遺産でもやるかなんぞのように思っていやがる。だが、わしはなにも遺言なんか残して死にはせん。このことはおまえたちもよくわかっているだろう。ところで、ミーチカのやつなんぞは、油虫のように踏みつぶしてくれるわ。わしはゆうべ、スリッパで油虫を何匹も踏みつぶしてやった。足を載せたらぐしゃりといったが、おまえのミーチャも、やはりぐしゃりというんだ。おまえのミーチャといったのは、おまえがあいつを愛しているからだ。もっとも、おまえがあれを愛しておるからって、びくびくするわしじゃないんだ。もしもイワンがあいつを愛しているとなると、わしはわが身のために心配したかもしれん。しかし、イワンは誰も愛しはせん。あいつは人間の仲間じゃないんだ。イワンのようなやつは、人間じゃない、風に舞い上がった埃《ほこり》だ。風が吹き過ぎると、埃も飛んで行ってしまう、……昨日、おまえに今日やって来いと言いつけたとき、ひょいとばかな考えが浮かんできたよ。実は、おまえの手を通して、ミーチカの考えを探ろうと思ったのさ。もしも今わしが千か二千かの金をあいつに分けてやったら、あの恥知らずの乞食
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