キねえ。それは昨日のことのためですよ、行って横におなりになるほうがいいでしょう」とアリョーシャが言った。
「それ見ろ、おまえがそう言っても」はじめて頭に浮かんだことか何かのように、老人はいきなり言いだした、「わしはもしもイワンがそれと同じことを言ったら、わしはきっと腹を立てたに相違ない。おまえと話しているときだけ、わしもいい気持になるのじゃが、そのほかのときは、わしは全く意地の悪い人間だからな」
「意地の悪い人間じゃなくて、ひねくれてしまった人なんですよ」とアリョーシャはほほえみを浮かべた。
「ときにな、わしは今日、あのミーチカの強盗を牢《ろう》の中へ打ちこんでやろうかと思ったが、今またどうしたものかと迷っておるのだ。もちろん、流行を追う今の時世では、親父《おやじ》やおふくろを旧式な人間に見られるのがあたりまえのようになっているが、しかし、いくら今の時世だといったところで、年寄りの親父の髪をつかんで、おまけに靴の踵《かかと》で顔を蹴飛《けと》ばすなんかということは、法律上ゆるされておらん。しかも場所は当の親の家じゃないか、それに、もう一度やって来て、今度こそ本当に殺してやると、証人のお
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