「がな、……それどころか、特別な教育というほどのものさえないくせに。ただ、黙って人の顔を見ながら、にこにこしているんだ――それがあいつの奥の手なんだ」
 アリョーシャは黙って聞いていた。
「なんだって、あいつはわしと話をせんのだろう? なにかの拍子で物を言うことがあると、なんだか妙にひねくれたことばかり言いおる。本当にイワンは悪党だ! なあに、グルーシェンカとは気さえ向いたら、すぐにでも結婚してみせる。金を持った人間は、ただ気さえ向いたら、なんでもできるからな、アレクセイさん。イワンはこれがこわいもんだから、わしが結婚せんように見張りして、ミーチカをつついて、グルーシェンカと結婚させようとしておるのだ。こうして、グルーシェンカがわしのところへ来る邪魔をしようと思っとるんだ。(へん、もしもわしがグルーシェンカと結婚せなんだら、あいつに金でも残すと思っとるのかい!)また一面から見ると、ミーチカがグルーシェンカと結婚したら、イワンは兄貴の裕福な花嫁を自分のものにしようという肚《はら》なんだ。これがあいつの胸算用なんだ! 本当にイワンは悪党だ!」
「お父さんはほんとにいらいらしていらっしゃいま
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