|ントはこのとき庵室の戸口にある低い小さなベンチに腰をかけていた。その上には、大きな楡《にれ》の老樹が、かすかにそよいでいた。夕暮れの冷気が通り過ぎた。オブドルスクの僧は苦行者の前に身を投げ出して、祝福を乞うた。
「おまえさんはわたしを自分の前へ、同じようにうつぶせにさせようというのかな?」とフェラポントは言った、「起きなよ!」
坊さんは立ち上がった。
「わたしにも祝福を授け、自分でも祝福を受けてから、そばへ来てすわるがよろしい。いずれからまいったのかな?」
何にもまして、この哀れな僧を驚かせたのは、フェラポントが疑いもなく極度の精進をして、しかもかなり年が寄っていたのにもかかわらず、見かけたところでは、力強い背の高い老人で、腰も曲がらずにしゃんとして、顔も痩せてはいるが、元気らしく、生き生きしていることであった。その体《からだ》の中に、まだなみなみならぬ力が保たれていることは確かであった。体格などは、まるで力士のようであった。これほどの年になっていながら、彼はまだすっかり胡麻塩《ごましお》にはなりきっていなかった。もとはまっ黒であった髪の毛は、頭にもあごにも房々としていて、大きな
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